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時には懺悔を 2025年6月

COMMENT

中島哲也/監督

 「この子は生まれてこないほうが幸せでした」。劇中のセリフですが、そう言われた子どもがそれでも生まれ、多くの人々の心を動かし、その人の人生に影響を与える。望まれなかった命が誕生し誰かの救いになって、この世界に生まれてきた価値があると証明する。そのことと正面から向き合った映画だと思います。
  過剰に人を攻撃してしまったり、心に傷を負ったまま立ち上がれなかったり、あるいは自ら壁を作りその中に閉じこもっている…そんな欠点だらけの大人達が、重い障がいを持ち生まれてきた幼い命に出会い、どう変わっていくのか。
  原作小説を読んでから約20年。ずっと映画化を切望しましたが難しいと言われ続け、中止になってもおかしくない事態に何度もぶつかりながら、障がい児関連の人々など多くの人の協力と努力に支えられ、やっと完成しました。この20年間に世の中の価値観が少しずつ変わり、こういう映画が人々に受け入れられる土壌がようやく整ったことを強く実感しますし、嬉しい限りです。
  主人公である佐竹同様、極度のヘソ曲がりの私ですが、この映画にはかつてなく自分の気持ちが素直に出ている気がします。伝えようとしていることの大切さや重さを考えれば気取った演出などしている場合じゃなかった。そこに監督としてのエゴを入れる余地は全くありませんでしたし、スタッフ・キャストを含め全員で作ったという実感を強く抱いています。
  だからこそ、観てくれた人がこの映画をどう感じどう受け止めてくれるか、ものすごく楽しみです。どうか是非、劇場に足をお運び下さい。

西島秀俊 満島ひかり 黒木華 宮藤官九郎 毎熊克哉 鈴木仁 烏森まど 山﨑七海 唯野未歩子 野呂佳代 長井短 しんすけ 山下舜太 諸角優空 柴咲コウ 塚本晋也 片岡鶴太郎 / 佐藤二朗 役所広司 監督:中島哲也 原作:打海文三「時には懺悔を」(角川文庫/KADOKAWA)脚本:中島哲也 門間宣裕 制作:TIMEさざなみ 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント © 2025 映画『時には懺悔を』製作委員会