佐竹三雄/西島秀俊
HIDETOSHI NISHIJIMA AS MITSUO SATAKE
個人で探偵事務所を構える独立探偵。脳性麻痺を患う息子の正樹を数年前に亡くし、妻の由紀を追い詰めてしまったことに自責の念を抱きつつも、不器用でひねくれた性格から酒に逃げて前に進めずにいる。正樹の姉にあたる“きょうだい児”の観月は悔恨から父親に反発し親娘関係は膠着。新の存在と新をめぐる人々の選択に何を思うのか?
構想18年。
『下妻物語』『告白』の中島哲也監督が描く、全ての人に問いかける感動傑作。
人生を歩んでいく上で、誰にも言えない過ちを抱え、心の奥底に沈めた「罪」と向き合い、
再び前を向くためのきっかけとなるのが、「懺悔」である。
『下妻物語』 『告白』など、その圧倒的な映像美や先鋭的な演出で、新作を発表する度に日本映画界に衝撃を与えてきた中島哲也監督が、その難しいテーマからも映像化不可能と言われてきた打海文三による傑作ミステリー小説を映画化。この原作と出会って18年、これまでも人間の業を独自の視点で描いてきた中島監督が、8年の沈黙を破りついに再始動。主演の西島秀俊をはじめ、満島ひかり、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、佐藤二朗、そして役所広司。全員が主役級ともいえる日本映画界の至宝たちが、この「奇跡の物語」を届けるために集結した。
物語は、一人の探偵が殺された事件から始まる。その真相を探る中でたどり着いたのは、
9年前の誘拐事件で連れ去られた、重い障がいのある少年・新。
過去に傷つき、絶望の淵に生きる大人たちが、今を必死に生きる一筋の小さな命に触れたとき、
凍りついた大人たちの心がかつてないほど激しく揺れ動く―。
「生きているのが奇跡」と言われた小さな命を巡り、本作は、障がい、介護、孤独といった現代の
深淵を見つめながらも、そこに溢れる「惜しみない愛」と「生きる希望」を描き出す。
親であること。親になること。目を背けたいもの。目を逸らしてはならないもの。
人は間違える。犯した罪は消えない。それでも、どんな命にも、生まれてきた喜びがあると信じたい。あなたは一人ではない。そんな祈りにも似た想いに、この映画は耳を傾ける。
原作が描いた世界、そして監督・スタッフ・キャスト・スペシャルニーズのある出演者や家族をはじめとする関係者…本作の制作陣の覚悟と圧倒的な熱量、それをエンターテインメントに昇華させて描かれた魂を震わせる唯一無二の感動傑作『時には懺悔を』が、ついにベールを脱ぐ――。



探偵がひとり、殺された。「死んだほうがマシな人間」と呼ばれた男・米本(佐藤二朗)。調査することになったのは、元同僚の一匹狼・佐竹(西島秀俊)と、助手で修行中の聡子(満島ひかり)。調べを進めるうちに、9年前に起こった新生児誘拐事件にたどり着く─。殺された米本が死の間際に調査していたのは、9年前に失踪し今は父親の明野(宮藤官九郎)と二人で暮らす、重い障がいのある少年・新。過去に傷つき、誰かを傷つけ、孤独に彷徨う大人たちが出会った「新」という小さな命。家族から目を背けた男、娘に捨てられた女、子を生きる糧にした男、産んだ子を愛せなかった女。「生きているのが奇跡」と言われたそのひとつの小さな命が、逃げ場のない現実にもがき苦しむ大人たちの心を動かしていく─。
監督・脚本:中島哲也
1959年生まれ。福岡県出身。CM制作会社を経て、87年からフリーのディレクターとして活躍。ACCグランプリ受賞の「サッポロ黒ラベル−温泉卓球編」など数多くの人気CMを手がけてきた。
2004年、監督と脚本を務めた『下妻物語』で注目を集め、『嫌われ松子の一生』(06)で文化庁芸術選奨文部科学大臣賞。『告白』(10)で日本アカデミー賞最優秀監督賞・最優秀脚本賞受賞している。
<監督・脚本作品>
1997年 『夏時間の大人たち』
1998年 『Beautiful Sunday』
2004年 『下妻日記』
2006年 『嫌われ松子の一生』
2008年 『パコと魔法の絵本』
2010年 『告白』
2014年 『渇き。』
2018年 『来る』
個人で探偵事務所を構える独立探偵。脳性麻痺を患う息子の正樹を数年前に亡くし、妻の由紀を追い詰めてしまったことに自責の念を抱きつつも、不器用でひねくれた性格から酒に逃げて前に進めずにいる。正樹の姉にあたる“きょうだい児”の観月は悔恨から父親に反発し親娘関係は膠着。新の存在と新をめぐる人々の選択に何を思うのか?
夜勤のアルバイトをしながら探偵スクールで学び、佐竹のもとで修行中。娘のアヤカに手をあげようとした元夫に逆上して刺傷させたことから傷害罪に。離れて暮らす娘には「メチャメチャ嫌われて」いて、面会デートもドタキャンされてしまう。佐竹とは対照的に感受性が豊かで情に厚く、調査の範疇を超えて新にのめり込んでいく。
明野を訪ねてきた主婦。離婚歴があり、現在の夫は再婚相手。住まいや自家用車、装いから生活は裕福であるとうかがえるが、二人の義娘との関係は上手くいっていないもよう。町工場を営む前夫との結婚時にも子どもが一人いたことがわかっている。テレビのニュース番組に映り込んだ新を見て、生前の米本に匿名で捜索を依頼していた。
米本の事件に関与していると思われる人物。二分脊椎症とそれに伴う水頭症を患う9歳の新を一人で育てている。妻の昌美は交通事故で他界。元は調理師だったが今は無職で、月2回の通院以外は目立った外出も他人との接触もなく、言葉を発さない新に話しかけながら介護に明け暮れる生活。新の体や好みについては誰よりも詳しい。
佐竹の妻。脳性麻痺の息子・正樹を自宅で介護していたが、家庭を顧みなかった佐竹を頼ることはできず、過酷なケアに追われて孤立。まだ幼かった長女の観月のストレスにも気づかず感情をぶつけてしまう。正樹の死後、精神科に入院中。佐竹から新のことを聞き、その母親に思いを馳せ、相反する思いに葛藤しながら自分を責め続けている。
多摩中央署の刑事。米本の事件後に民恵と前夫の志賀に接触する。9年前の誘拐事件を所轄で担当していたことから、明野の正体と民恵との関係をつかみ、二つの事件のつながりをいち早く特定する。明野と新の身の上や、米本の最期と犯人についても全貌を把握するが、職務と私情との間で複雑な感情を抱く。
佐竹と聡子の助っ人として米本事件の調査に協力する探偵。アウトローな気質と庶民性を併せ持ち、私生活ではよき祖父でもある。民恵の自宅に現れた刑事が9年前の誘拐事件を担当していた花村であることを探り当て、当時の民恵についても佐竹に伝える。米本とは旧知の仲であり、彼のあくどさは認めつつも、その死に情けをかける。
自身の事務所で何者かに刺殺された探偵。佐竹の元同僚。派手な宣伝を打って財を成していたが、顧客から高額な調査料を取るなど評判は悪く、周囲の人間は皆彼を嫌っていた。殺される直前に民恵から新の捜索を依頼され、明野と新の境遇を知って接触すると、なぜか相談にまで乗っていた。妻と有名私立中学に通う息子がいる。
佐竹がかつて在籍していた大手探偵社アーバン・リサーチのオーナー。佐竹の優秀さを買っていた元上司であり、その屈折した人となりや家庭の事情をよく知るだけに、独立してからも気にかけている。自暴自棄になっている佐竹に米本殺しの調査を託し、自社系列の探偵スクールで学んでいた聡子を助手として強引に送り込む。
「この子は生まれてこないほうが幸せでした」。劇中のセリフですが、そう言われた子どもがそれでも生まれ、多くの人々の心を動かし、その人の人生に影響を与える。望まれなかった命が誕生し誰かの救いになって、この世界に生まれてきた価値があると証明する。そのことと正面から向き合った映画だと思います。
過剰に人を攻撃してしまったり、心に傷を負ったまま立ち上がれなかったり、あるいは自ら壁を作りその中に閉じこもっている…そんな欠点だらけの大人達が、重い障がいを持ち生まれてきた幼い命に出会い、どう変わっていくのか。
原作小説を読んでから約20年。ずっと映画化を切望しましたが難しいと言われ続け、中止になってもおかしくない事態に何度もぶつかりながら、障がい児関連の人々など多くの人の協力と努力に支えられ、やっと完成しました。
この20年間に世の中の価値観が少しずつ変わり、こういう映画が人々に受け入れられる土壌がようやく整ったことを強く実感しますし、嬉しい限りです。
主人公である佐竹同様、極度のヘソ曲がりの私ですが、この映画にはかつてなく自分の気持ちが素直に出ている気がします。伝えようとしていることの大切さや重さを考えれば気取った演出などしている場合じゃなかった。そこに監督としてのエゴを入れる余地は全くありませんでしたし、スタッフ・キャストを含め全員で作ったという実感を強く抱いています。
だからこそ、観てくれた人がこの映画をどう感じどう受け止めてくれるか、ものすごく楽しみです。
どうか是非、劇場に足をお運び下さい。
TRAILER